【下肢静脈瘤のベテランが語る】下肢静脈瘤の症状と向き合い方

皆さんは、下肢静脈瘤という病気をご存知ですか?病名は聞いたことがなくても、

次に挙げる症状を聞くと、思い当たる方もいるのではないでしょうか?

 

・足の血管がボコボコと出て見える。

・ふくらはぎがなんだか重く感じる。

・足がむくんでいるようだが、どうやらむくみとは違うようだ。

 

いかがですか?何となく心当たりありませんか?それもそのはず。

なんと実は、日本国内で下肢静脈瘤の患者数は1,000万人を超えるというデータも

あるほど、メジャーな病気でもあります。その割には認知度が低いですよね?

このページでは、生まれつき下肢静脈瘤血管腫を有して生まれ40年以上過ごしてきた

筆者が、下肢静脈瘤の解説をさせていただきます。

 

【筆者プロフィール詳細】

生まれつき下肢静脈瘤血管腫を有して生まれ、これまで外科手術・硬化療法・投薬治療など、

人生で15回以上の入院・治療を数える現在44歳(2024年現在)のしがないライター。

下肢静脈瘤血管腫の影響かは不明だが、23歳時にいきなり脾臓が破裂するという症例

(当時世界初)にも見舞われるなど、山あり谷あり主に谷多めの人生ですが、

自分の経験を話すことで少しでも助かる人がいれば良いなとの想いから

今回記事執筆した次第です。

 

*目次

1.下肢静脈瘤とは?<決して怖がる病気ではない!>

2.悩む前にまずはチェック!<下肢静脈瘤セルフチェック>

3.あなたはどのタイプ?<下肢静脈瘤の種類と症状>

4.下肢静脈瘤はきちんと治る!<下肢静脈瘤の治療法>

5.今さら聞けない、お金や保険のこと。<治療費用、保険適用など>

6.まとめ

 

1.下肢静脈瘤とは?<決して怖がる病気ではない!>

今、この記事を読んでいる方の中には、

「そもそも下肢静脈瘤が何なのかもわからずに不安だ…」

という方も少なくないのではないでしょうか。

 

下肢静脈瘤とは、

足(特にふくらはぎ)の血管(静脈)が太くなり、瘤(コブ)のようにふくらむ症状

を指します。

血管がボコボコに浮かんで見えるという外見的特徴はありながらも、

一般的には下肢静脈瘤はそこまで重い症状が見られないため、

「病院に行くほどではないけど、正体が分からずに心配…」

と悩まれている方も少なくありません。

 

ですので、まずは最初に断言します。

 

下肢静脈瘤は決して怖がる病気ではありません!

 

もちろん、だからと言って放置していいわけではありません。

まずは次の項目で、ご自身が本当に下肢静脈瘤かどうかをチェックしてみてください。

 

2.悩む前にまずはチェック!<下肢静脈瘤セルフチェック>

現在、「下肢静脈瘤かも…」とお悩みの方は、まずは下記項目をご覧ください。

 

▢ 足の血管が浮き出て見える。

▢ ふくらはぎにだるさを感じる。

▢ 足がむくんでいる。

▢ 足にムズムズ感(不快感)を覚える。

▢ 足がかゆい。

▢ 足に湿疹ができている。

▢ 足の色素が沈着している。

▢ 足が妙に火照る。熱く感じる。

▢ 足に潰瘍ができてしまっている。

▢ 最近、足がつりやすい。

 

この中でやはりわかりやすい症状は、見た目に関する部分でしょう。

 

足の血管が浮き出て見えるだけでなく、色素沈着や潰瘍が起こっている場合には

下肢静脈瘤の可能性が高くなりますので、医師の診断を仰ぎましょう。

また、”ふくらはぎ”という部位にも注目です。下肢静脈瘤の多くは、

ふくらはぎに発症すると言われています。

 

ふくらはぎのだるさ・重さが長期間にわたって続くようなら、

病院で検査してみることをおすすめします。

 

3.あなたはどのタイプ?<下肢静脈瘤の種類と症状>

前項目でさまざまなチェック項目があったかと思いますが、

下肢静脈瘤と一口に言っても、その種類は大きく分けて4種類あります。

 

(1)伏在型静脈瘤

(2)側枝型静脈瘤

(3)網目状静脈瘤

(4)クモの巣状静脈瘤

 

詳しくは下記のイラストと一緒にご紹介します。

 

(1)伏在型静脈瘤

伏在型静脈瘤とは、足にある表在静脈で最も太い大伏在静脈および小伏在静脈に

現れる静脈瘤を指します。下肢静脈瘤で一番多いタイプが、この伏在型静脈瘤です。

特徴としては、足の付け根からくるぶし付近まで、幅広くボコボコした瘤ができる点です。

 

(2)側枝型静脈瘤

側枝型静脈瘤とは、伏在静脈から枝分かれした静脈からさらに分岐した先にある

枝の一部が膨らみ、瘤となったものを指します。

主にふくらはぎに発症するタイプですが、伏在型に比べるとやや細めで範囲が狭く、

症状も軽いケースが多いという特徴があります。

 

(3)網目状静脈瘤

網目状静脈瘤は、皮下の浅い場所にある細い静脈が拡張してできる静脈瘤を指します。

静脈瘤が網目のように見えるのが特徴で、他の静脈瘤のようなボコボコとした

見た目の瘤はありません。

 

(4)クモの巣状静脈瘤

皮下の浅い場所にある、とても細い静脈が拡張してできる静脈瘤を指します。

クモの巣状に広がって見える血管が特徴です。大腿部、下腿部、膝裏など

幅広い箇所に現れますが、一般的には軽い症状の場合が多く、

すぐに治療をする必要はほとんどありません。

 

4.下肢静脈瘤はきちんと治る!<下肢静脈瘤の治療法・対処法>

下肢静脈瘤の種類の次は、治療法・対処法を見ていきましょう。

下肢静脈瘤の治療法・対処法は日々開発されていますが、

メジャーなもので5種類あります。

 

(A)硬化療法

(B)ストリッピング手術

(C)レーザー治療

(D)グルー治療

(E)弾性ストッキング

 

下記でそれぞれの長所短所もお伝えいたしますので、まずはご覧ください。

 

(A)静脈瘤に注射するだけの「硬化療法」

硬化療法とは、静脈瘤に直接注射で薬を注入し、

瘤自体を固めた後に血管に溶かすことで治療する方法です。

症状にもよりますが、固めた瘤は半年ほどで吸収されます。

 

硬化療法のメリットは、何と言っても手軽さ

軽症の場合、日帰り治療も可能なため、「まずは硬化療法を」と

勧められるケースも少なくありません。

ただし、静脈瘤が大きかったり、広範囲に症状が広がっている場合、

ピンポイントで効果を発揮しにくいという欠点もあります。

 

(B)静脈を引き抜く!?「ストリッピング手術」

ストリッピング手術とは、足の付け根の部分と膝の部分の2ヵ所を2㎝ほど切開し、

静脈瘤のある静脈内にワイヤーを入れて、ワイヤーごと静脈を抜き取る手術です。

このように聞くと痛そうに感じるかもしれませんが、

静脈瘤のある静脈を根こそぎ除去できるため、高い治療効果が期待できます。

静脈瘤の治療法の中では、100年ほど前から行われていたとも言われるほどに

歴史があり、それだけ症例があるというのも安心できる点です。

もちろん、手術になるため、硬化療法などに比べると痛みや出血のリスクは

ありますが、長く静脈瘤に悩まされてきた方にとっては一考の価値がある

治療法と言えるでしょう。

 

(C)血管を内部から焼いて塞ぐ「レーザー治療」

レーザー治療は、点滴の針くらいの小さな穴から血管内にレーザーファイバー

を通して、レーザーの熱で静脈を塞ぐ治療法です。血管内から治療を行うと

いう点では、ストリッピング手術と同じですが、

レーザー治療は出血などのリスクがほぼなく

日帰り治療ができるなど、身体に負担の少ない低侵襲治療と呼ばれています。

 

また、下肢静脈瘤歴の長い方からすると「レーザー治療は保険がきかない…」と

敬遠しがちですが、現在は保険適用されているため、安心して治療に臨むことが

できます。

 

(D)接着剤で血管を塞ぐ!「グルー治療」

グルー治療は、下肢静脈用に開発された医療用接着剤(グルー)を、

カテーテルと呼ばれる細い管で血管内に注入して、血管を塞ぐ治療法です。

血管を塞ぐという意味ではレーザー治療と同じですが、

レーザーと違い熱を伴わないため、より身体への負担が少ない治療法です。

 

また、レーザー治療では必要だったTLA麻酔も要らないなど、

患者の負担はさらに低減されますが、接着剤の成分にアレルギーをお持ちの方は

使用できない場合があります。

 

(E)今日からできる第一歩「弾性ストッキング」

弾性ストッキングとは、圧迫する圧力が強いストッキングを履くことにより、

足(特にふくらはぎ)を締め付けて、ふくらはぎの筋ポンプ作用を助けることで、

足に血液がたまることを防ぎます。

 

日常的に使用することで下肢静脈瘤の症状を緩和させる効果を期待できますが、

慣れないうちは履くのが難しかったり、かぶれたりするなど、

敬遠してしまう方がいるのも事実です。

 

医師などに相談すれば、最適な圧力のストッキングをアドバイスしてもらえたり

しますので、「自分には合わない…」とあきらめる前に一度ご相談ください。

 

5.今さら聞けない、お金や保険のこと。<治療費用、保険適用など>

初めて下肢静脈瘤の治療を行う人にとって、治療費用は気になる要素でしょう。

治療を受ける病院によって多少上下はしますが、

下肢静脈瘤の治療には健康保険が適用されますので、

一般的な治療費用はおよそ以下の通りです。

 

硬化療法(1回あたり):約6,000円

ストリッピング手術(片足):約33,000円

レーザー手術(片足):約33,000円

グルー治療(片足):約45,000円

※いずれも3割負担の場合

 

上記は治療自体の費用となりますので、入院される際などには別途入院費などが

必要となります。あくまでも上記費用は目安としてご覧いただければ幸いです。

もちろん安くはありませんが、長年の悩みが解消できると考えると手頃ではないですか?

 

さらに下肢静脈瘤の治療には、高額療養費制度が適用されますので、

安心して治療に臨めます。

まずは費用のことは心配せずに、症状が気になる方は、病院に行きましょう。

 

6.まとめ

いかがでしたか?少しでもこのページに訪れた時に感じていた、

下肢静脈瘤への不安や心配が解消されていたら幸いです。

このページを改めて要約すると、

 

・下肢静脈瘤は決して怖がる病気ではない。

・今では治療法も多種多様で、症状に合わせて選択可能!

・治療費用は思ったよりも高額ではない。費用を理由に諦めないで!

 

です。生まれつき下肢静脈瘤血管腫と共に生きてきた筆者が思うのは、

「必要以上に怖がらずに、下肢静脈瘤と上手に共存していこう」ということ。

 

確かに下肢静脈瘤および下肢静脈瘤血管腫を発症すると、

日常生活で不便に感じることはありますが、工夫次第で問題なく

日常生活を過ごすことも可能です。

そうしたノウハウはまたの機会にご紹介いたしますので、その際は是非ご覧ください。

 

それでは、良き下肢静脈瘤ライフを!!

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